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2020/10/19
サクセスカレッジ
打ち抜き現場での静電気トップシーズン対策、改善方法とは?
<2022年12月7日更新>
目次
毎年繰り返す問題 ~静電気
特に秋から冬にかけて製造現場でいちばん悩ましい問題の一つが「静電気」と思います。
「紙が流れない」
「シートの浮き上がり」
「シートが持っていかれることによる加工不良」
「ほこりや紙粉の付着」
など、静電気がもたらす問題は不良による損失だけではなく、作業が遅れることによって納期遅れなどのクレームにもつながる可能性ががあります。
空気が乾燥して湿度が下がる、秋冬シーズンは特にこのようなトラブルが激しくなります。
毎年のこの問題、対策方法はありますでしょうか?
静電気が発生するメカニズム
静電気が起こる要因は「摩擦」「剥離」「接触」にあります。
人や物体が持つプラスとマイナスの2種類の電気に摩擦や強い力が加わると、バランスが崩れてしまいます。この際に、それぞれ正に帯電した状態ことを「静電気」といいます。
衣類や車のドア、扉のノブなど、身近なところに静電気が起きやすい箇所があります。
図のように、物の素材によって異なる電気を持ちます。
人間が機械の金属部やポリ製の素材を触ると静電気を感じるのは、人間自体がプラス帯電しやすいため。
打ち抜き加工をする際にも、シートの材質によって静電気の大きさが変わります。
マイナスが大きいほど静電気も大きくなるので、特にPP系や塩化ビニール材質を取り扱う際には更なる注意が必要です。
静電気が引き起こす災いの代表例
それでは、打ち抜き現場ではどこで静電気が起きるのか?
機械を中心に、起きやすいセクションを確認してみましょう。
※画像提供:三和製作株式会社様
このように、機械でもセクションによっても様々なトラブルの内容があります。
静電気を完全に無くすことはできませんが、静電気が溜まる前に、
対策をしておくことによって、トラブルを軽減することができます。
各セクションでどのような対策が効果があるのか、解説して行きます。
軽減&改善方法 ~ 資材アシスト
①面板・給紙部にスプレー:静電・帯電スプレー
初期症状を抑えるに大変有効な商品です。
噴霧直後は界面活性剤の効果で静電気を一時的にしのぐことができる反面、長期間の持続には不向き。
おすすめ箇所:フィーダー(給紙)部、パレット、抜型に噴霧
②除電用シート:放電くんペーパー
静電気を嫌うところなら、何処でも除電効果があります。
低価格でお手軽に使えるため、すぐに行程に取り入れれるメリットがあります。
プラスチックを扱う作業現場下敷 / 包装の中または包み紙
大型の静電除去装置の設置できないところに、
放電くんペーパーを金属部(アース)に接触させてご使用下さい。
紙、プラスチック等の加工時、放電くんペーパーを軽く触れるように流すだけで除電されスムーズな加工ができます。
作業中の除電、包装、輸送にこの放電くんペーパーを、作業台の上・包装紙としてご使用下さい。
冬場、車の乗り降り、エレベーター、ドアのノブなどに。
※注意:本品を漂白剤および酸等に触れない様にして下さい。
おすすめ箇所:レジスター部
③機械に貼るタイプ:静電気クロステープ
機械の給紙や排紙の紙の通り道に貼ることによって静電気を除去するのに、高い効果を発揮します。
糊付なので手軽に貼れて、アース線も不要です。
おすすめ箇所:フィーダー(給紙)部、デリバリー(排出)部、レシスター部
軽減&改善方法 ~ 抜型メイキング
静電気防止素材を配合した特殊スポンジを抜型に貼ることで、
プレス時に発生する静電気を抑えることができます。
①ピンクメッシュ(硬度20°)
帯電防止素材を配合した特殊スポンジです。独立気泡で高い緩衝性があります。
帯電することで、空気中の埃などを引き寄せません。
抜型にべた貼りすることで、抜型側にシートが引っ付くことを防止して、
静電気によるバラケを無くします。
おすすめ:シート全般、特にPP・PETシート、薄紙に効果あり
②eスポンジ DX(硬度58°)
抜型専用のスポンジとして高反発得率発泡体スポンジです。
その中でも「DXタイプ」は表面をざらざらとした「メッシュ加工」しているため、
シートとの密着・接触面を減らすことで静電気を軽減します。
おすすめ:シート全般
※静電気比較動画
YOUTUBE動画で確認⇒リンク
その他 軽減&改善方法
①適切な湿度を維持する
風の流れをよくする、適切な湿度維持するために加湿機を利用する方法は手軽なので、
多くの現場で既に取り入れています。
平均的な湿度は約45%と言われていますが、
作業現場の湿度は50~60%維持することをおすすめします。
②空間除電装置の導入
または、大手企業の製造現場によく取り入れられている方法ですが、
「空間除電装置」を導入して、静電気が起こらない除電空間を作る方法です。
ただ、設備導入には多額な費用が発生するため、すぐ実行できる方法ではありません。
③作業者側の対応
作業者の衣類、作業用の手袋を「帯電防止」仕様に変更することで、
人から発生する電気をある程度軽減することも可能です。
ガソリンスタンドに設置されている除電用シートのように、
作業に入る前に溜まった電気を放出させることも大事です。
機械やシートに溜まった電気を軽減するわけではないですが、作業者に常に静電気を減らす取り組みを意識させることもできます。
まとめ ~静電気軽減のために
打ち抜き加工の現場で静電気を軽減させるためには
以下の3つの対処方法が有効的です。
①静電気が溜める前に対処をする
⇒除電や帯電できる資材を活用して機械と抜型、シートに溜まる電気を処理してください。
②湿度を50~60%を維持する
⇒水に含まれる物質(塩素/ミネラル)を使って電気の通しをよくする
③空間(作業現場)の管理をする
⇒外気を流し込んで帯電対策をするなど、作業空間全体に静電気が溜まらないように管理してください。
これからの本格的な静電気の季節に備えて、取り組んでみてはいかがでしょうか?
- Author:大塚 章乃介
- 2015年8月より本部 経営推進室 室長として就任。
現DSC学長でOnlineセミナーを配信中。