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2022/05/31
サクセスカレッジ
段ボールの罫割れ、ライナーの割れを改善したい
段ボールの構成と限界
EU(欧州連合)が海洋汚染を防ぐための脱プラスチックの指令を公布したことで
SDGs社会で再注目される再利用可能な「紙」「段ボール」。
ファーストフード店では既に、プラスチック製のストローが紙製に代わったり
ハンガー、紙パック、緩衝材なども続々と紙製へと切り替わっています。
段ボールの打抜き加工で多くの顧客が頭を抱えているのが
糸くずの発生、紙粉、シートの反り、罫割れ(折れ筋)、ライナーの割れです。
その中で、罫割れとライナー割れの対策に着目したいと思います。
まず、段ボールは、表ライナー、中芯、裏ライナーで構成されており、
パルプ(製紙に用いるために分離した植物繊維)の配合量によって等級が分かれます。グレードが低くなるほど弱いライナーであり、「割れ」が発生しやすくなります。現在では、KライナーとCライナーの原紙が主流となりました。
今まで物流として使用していたダブルフェーサの段ボール箱を、コスト削減や生産効率の向上でシングルフェーサへ切り替える際にダブルフェーサの緩衝力が必要となるため、中芯(強化芯)にすることで緩衝力の問題クリアができる、ことで強化芯にすることがあります。
その強化芯を使用して、ライナーのグレードを下げてしまうと、
より「割れ」が発生しやすくなってしまいます。
※段ボールの規格については下記を参考にしてください。
<参考記事>
段ボール(ダンボール)の原紙規格(構成)とは?
パッケージで使用される段ボール(ダンボール)の種類と構造とは?
抜型の罫線設定
・罫線設定
紙器・段ボールの平版用抜型では刃物の高さは、国内では高さ23.6mm。
※厚みは、通常0.7mm。硬く、厚みのある物は0.9mm。
A段を加工する場合は、通常罫線は、R罫の高さ22.6mmを使用します。
ここに図のような1mmのギャップがあるため、ここをGテープ®(面切りテープ)で高さを合わす必要があります。
弊社の抜型設定は、Gテープ®(面切テープ)をすることを前提としてますので
抜型メーカーによっては、設定が異なる場合があります。
Gテープ®を使用しない抜型設定で、Gテープ®を使用すると底打ち等が発生し「割れ」を誘発させてしまうので注意が必要です。
Gテープ®と抜型設定は、こちらをご参考ください。
シートの乾燥状態や季節によっては、シートが割れやすいのでGテープ®の溝が広いものを使用したりすることをお勧めします。
<Gテープ®罫線設定面切りテープ早見表>
資料 ダウンロード
罫割れの改善事例①
・罫割れ
罫割れが起きる代表例として、
① 折ったときに割れる
② 打ち抜いた時点で割れる
③ 90°から180°へ折り込む時に割れだす
④ 表・裏どちらかが割れる
上記の現象によって対策が全く違ってます。ご相談を頂く際には情報とお写真があればより詳しくアドバイスできます。
Gテープ®で改善をするケースも多いのですが、ひとつ注意していただく点があります。
本来であれば、画像のように綺麗に筋を入れることができます。
しかし、抜型の罫線とGテープ®の溝部の位置がズレていると、片罫になり「割れ」が起きます。
セット時のGテープ®や面板の平滑性にご注意ください。
また、片罫は筋をみて判断することができます。
罫割れの改善事例②
こちらは、海外での案件ですが
W段の合紙で、2・4番罫がかなり割れてしまってます。
原因を究明する為に、抜型設定を確認するとR罫線の厚み1.0mm程度。
罫線が細いため折り目が狭い筋でシャープに入りすぎてしまいます。
また罫割れを補うため罫線横に貼っているゴムですが、幅が細くあまり効果をなさない状態です。
このまま打抜くと、裏ライナーに裂け割れを起こす可能性が高くなります。
弊社では、W段合紙でシート硬く割れやすかったので
2、4番罫線は厚み4mm罫で筋を広くしっかりと入れ、SUPO LWで幅広く潰して腹打ちを軽減することを提案して改善することができました。
罫割れ改善事例②
W段 逆目 R罫2.0×22.6mm、面切0660を使用。
逆目なので折れ難い箇所ですが、罫線が高くて底打ちで「割れ」が発生しています。
罫線を高くするよりも、角罫と幅を広げて筋を入れた方がシャープに折れやすくなります。
角罫3.0×22.3mm程度を提案いたしました。
罫割れの対策をとる場合は、
現在の抜型設定と、割れている箇所はどこか、で改善することができます。
添い目、逆目、で罫線や面切設定を替える工夫をされている方もおられます。
他社型でも罫線の入れ替えや、Gテープ®の設定を替えることもできますので
弊社もしくは、取引先メーカーにご相談ください。
ライナーの割れと対策
割れの中でも多いのが「手穴」です。
ストレートに対して、Rや丸箇所は切れにくいために、打抜く際に周囲が引っ張られることで割れることが多いです。
こちらの対策は、抜型はそのままでゴム、スポンジの貼り方を替えるだけで解決する事ができます。
しかし、段ボールを潰しすぎると緩衝性が低くなってしまいますので
シートに合わせて適度な潰しが必要となります。
幅広く潰したり、ぼやけさせる方法は色々とあります。
右の画像は、B段をコルクで潰した場合の比較画像です。
罫線横を潰すことで折れ易くしたり、割れを軽減することができる場合があります。
刃物横は、切断面を綺麗にすることができます。
最後に
「割れ」トラブルは、乾燥時期に特に多いですが、
段ボールの構成によっても起こりやすく、最近はご相談いただくケースも多くなっています。
お悩みの際は、ぜひ一度ご相談ください。
- Author:大塚 章乃介
- 2015年8月より本部 経営推進室 室長として就任。
現DSC学長でOnlineセミナーを配信中。