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2017/06/10
打ち抜きの基礎
抜型(トムソン型・ビク型)の情報表記についてのこだわりとは?
<2021年11月17日更新>
目次
長く抜型の製作に携わり昔と大きく変わったものが一つあります。それは、パルスレーザー(貫通させずにマーキングするだけのレーザー加工)により抜型自体に情報が描かれていることです。
抜型に表記された情報を知ることで製品や問題解決の糸口がわかり次に生かせることがあります。
今回は現在の弊社抜型(トムソン型・ビク型)に表記されている情報についてご案内させて頂きます。
使用材質の表記
この抜型で打抜かれる材料の表記です。
板紙の場合にはg数で表記しています。
段ボールの場合には○/Fで表記しています。
パルスレーザー以前はスタンプで対応していました。
段目・紙目の表記
抜型に対しての紙目や段ボールの流れの表記です。
弊社の確認用にはなりますが、ご納品先でもこの表記があれば一目瞭然となります。
これもパルスレーザー以前はスタンプでの対応でした。
打抜き方向の表記
打抜きには、シートの表面(印刷面)から打抜くことを「表抜き」と呼び、裏面から打抜くことを「裏抜き」と呼びます。
この「表抜き」か「裏抜き」の表記です。
表抜きなのか、裏抜きなのかを表記することによって、抜型面にも影響があります。
これもパルスレーザー以前はスタンプでの対応でした。
シート寸法枠の表記
シート寸法の表記です。
特にステ刃の長さが十分に足りているのか等の確認で必要となります。
以前はメジャーでシート寸法まで十分にステ刃が足りているのか等の確認をしていましたが、パルスレーザーによって可視化することが出来ました。
使用刃物の表記
この抜型にはどういった刃物を使用しているかの表記です。
複数に使い分けがあるときには刃物の入れ間違いの発生を防ぎます。
また、ご納品先でも抜型を見るだけで使用されている刃物の確認がおこなえます。
今現在でも抜型の管理シールに記載はしていますが、使い分け等までの記載は難しかったのでパルスレーザーで可視化することが出来ました。
使用罫線等の表記
この抜型にはどういった罫線やリード罫・ミシン刃等を使用しているのかの表記です。
これも刃物同様に複数に使い分けがあるときには入れ間違いの発生を防ぎます。
また、ご納品先でも抜型を見るだけで使用されている罫線等の確認がおこなえます。
以前はスタンプや抜型管理シールで記載していましたが、使い分け等が複雑な罫線等においてパルスレーザーを使用することにより可視化することが出来ました。
F(フロント)マークの表記
F(フロント)という表記です。
印刷面(シート表面)をFとします。
抜型に対して印刷面が反対になる場合には、Fの文字が反転になります。
以前までは抜型に表記はしていませんでした。このFマークを表記することで可視化することが出来ました。
修正作業用マークの表記
レーザー機で修正する際に必要となるターゲットです。
寸法の修正や穴等の追加で納品後に修正が必要となった際にレーザー加工で修正をおこなっています。
弊社は最新のレーザー加工機を導入しており、最新機ではこのターゲットで位置決めをおこなうことが可能です。
以前は刃物や罫線等のラインを利用して二点で位置決めをおこなっていましたが、このターゲットで修正加工が出来ることにより、効率化と寸法精度の向上が図れました。
ニック位置の表記
ニック位置の表記です。
あらかじめニックの位置が決まっていればレーザーにて表記をおこないます。
レーザーであらかじめ表記していればブリッジ部分にはニックが入ることはありません。
また、ニックの大きさの使い分けがある際にも、可視化が出来たことによって加工間違いを防ぐことが出来ます。
以前はレーザーを貫通させて表記していたため、ベニヤの強度が弱くなったり刃物や罫線等がゆるく入る可能性がありました。
ピンマークの表記
ピンマークの表記です。
向きや正読み・逆読みも表記することで入れ間違いの発生を防ぎます。
以前はピンマークは位置だけを表記していただけで、向きや正読みなのか逆読みなのかをペーパーで確認する必要がありました。
マイラーフィルム有無の表記
マイラーフィルムが必要・不必要の表記です。
マイラーフィルムはご納品先でムラ取り用や印刷との確認用として使用されます。
以前は梱包時や配達の際にペーパーで確認する必要がありました。
その他注意書きの表記
ピン穴・丸刃・エンボス・刻印等の表記です。
この表記については、作業者が間違いを起こしやすい形状に対して表記することによって間違いの発生を防ぎます。
情報表記まとめ
パルスレーザーによって情報が可視化されたに抜型は社内においても、効率化とミス発生の抑制に繋がっています。
また、例にだすと段目や紙目、罫線の表記を確認した際に、通常のメイキングをおこなうとシートの割れが必ず起こるのでは、という品質に対しての着眼点も養われます。
お客様で使用されたときに発生したトラブルに対しても、可視化された抜型は解決までのプロセスが早まることがあり、同様の問題が発生しそうな抜型に対してもその抜型の表記とメイキングを目視することで技術水準の向上が図れます。
上記で取り上げていないパルスレーザーの表記を見かけましたら、是非弊社営業マンにお尋ねください。
また、こんな表記があったらいいのにというものがありましたら、担当営業マンにご提案ください。
このパルス文字の表記に関しては、先日も社内にて検討をおこない新たな取り決めをおこなったところになります。
弊社の抜型はこれからも進化していきます。是非これに限らず抜型に対するご要望等ありましたら宜しくお願い致します。
- Author:岡 篤史
- 大創株式会社 九州営業所 所長 岡 篤史です。